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第16回 家電がつながる。現実化してきたホームネットワーク

2012年12月に沖縄県うるま市の沖縄IT津梁パークにIIOT(international internet of things/international interoperability testing)という一般社団が運営する家電の接続性テスト/検証を行う大型施設がオープンしました。(http://www.iiot.or.jp/


代表的な家電メーカーの大型テレビから各種スマートフォンが数百機種、冷蔵庫、洗濯機、エアコン、照明機器、トイレ等々ホームネットワークとして接続可能な家電がすべて揃っています。コンセプトは「世界最先端の検証・認証のテクノロジー・プロバイダーをめざしワンストップサービス実現の為の基盤構築」です。


これまではメーカー各社が他社との接続性を確認するために個々に必要な機器や製品を購入して接続性のテストを行ってきました。テストが終了すれば購入した機材は廃棄となり大きな無駄となっていました。

今後はこのようなセンターに持ち込み接続性のテストを依頼し、認証をもらえばOKとなります。業界を跨いでの横断型の事業であり、画期的な取り組みといえます。


家電の接続はエコネットライトコンソーシアムという民間団体が取決めたエコーネット規格(ECONET lite規格)に準拠して開発されます。(http://www.echonet.gr.jp

これまではデジタルTVのレコーダーとしてハードディスクやブルーレイを購入しようとすると裏書を見て接続可能機種を探す必要がありました。これがこの規格に沿って開発された製品であれば問題なく接続可能となり利用者にとっての大きな安心とメリットになります。


接続の為の通信手段も変わりました。これまで許可の不要な周波帯として950Mzが使われていましたが今後は920Mzの周波帯(Wi-SUN)が利用可能となります。この通信プロトコルに関しても適合性の認証が行われる予定です。この通信規格は次世代電力計「スマートメーター」の無線通信方法として採用され現在の主流となっております




規格の重要性

私のコラムでは、毎回「規格」という言葉が使われますが、品質の見える化は「規格」にきちんと準拠しているかであり、規格認証を取ることが見える化の第一歩と言えます。


世の中には、きちんと動けば良い製品であり認定や認証は余計なコストであり、不要だと言われる経営者もたくさんいます。そこでこう考えて頂きたい。自動車の運転ができても自動車運転免許証を取得してなければどうなりますか?事故さえ起こさなければ関係無い、捕まらなければ関係ない?そんなことを考える経営者はいないはずです。交通ルールを守ることを学習した証が免許ですから、「規格」を守って開発された製品に認定や認証を付与することは消費者に安心・安全を届ける意味で必要な工程とお考えください。


ホームネットワークが実現できる背景は通信手段や開発プロトコル及び接続性検証環境が規格として統一されたことにあります。


藤井 洋一
藤井 洋一
■略歴  1985年 金融機関退職後、現在の会社を創業  2005年 一般社団法人IT検証産業協会の設立に関わり、ソフトウェア品質向上の活動を推進。2016年から会長を務め、2023年6月より監事として活動中  2013年 一般社団法人コンピュータソフトウェア協会(現:ソフトウェア協会)においてソフトウェア製品の品質認証制度(PSQ認証制度)を委員長として制度設計、運用開始  2016年 一般社団法人IT団体連盟の発足に参加、理事及び政策委員として活動。2023年諮問委員会 副委員長として活動中  2018年 「情報銀行」認定制度の制度設計サポート  2019年 工業標準法に基づく試験事業者登録制度(JNLA)等に係る試験事業者技術委員会電磁的記録分野技術分科会委員  ■その他の活動  独立行政法人情報処理推進機構にて「品質説明力強化のガイドライン」作成委員として執筆  ソフトウェア製品の国際規格「ISO/IEC 25051」のJIS化委員