第19回 利用時の品質から学ぶ(効率性について)
前回は、利用時の品質における“有効性”について解説しました。
今回取り上げるのは “効率性” です。
品質特性の効率性について
効率性に関しての規定は以下の通りです。
「利用者が特定の目標を達成するための正確さおよび完全さに関連して、使用した資源の度合い」を示しているとしています。
ここでいう「資源」とは何を指すかというと、利用者が指定された利用状況下で正確かつ完全に、指定された目標を達成できる場合において、そこに費やされた作業時間や材料(マシンスペック)、投入された人的資源のことをいいます。言ってみれば、どんなに有効でもコストが見合っていなければ意味がないということです。
効率性の測定は、目標を達成した場合に要する平均作業時間で評価します。また時間以外で、利用した総費用を評価としてよいとも考えられています。
作業時間:作業を完了させるのに必要な時間は?
作業効率性:利用者はどのくらい効率的?
例)処理は遅いがわかりやすい入力画面と、高速処理ができるが入力チェック機能が少なく誤入力が発生しやすい入力画面とを比較し、その効率性を評価する。
経済生産性:利用者の費用効率はどのくらい?
例)手書きで手計算による利用者時間の経済性と、システム利用時の経済性を比較し評する。
生産的な割合:利用者が生産的な活動を実施できている時間はどのくらい?
生産的な時間=作業時間-(支援時間+誤り時間+検索時間)
相対的利用者効率性:熟練者と比較して利用者はどのくらい効率的?
この場合、熟練者と同じ時間同じ作業を行ない、その生産性を比較する。
相対的利用者効率性=普通の利用者時間 ÷ 熟練者の時間 1.0に近いと効率的
上記の考え方は、新しいコンピュータシステムを導入した場合に、その効果を測定する方法としても有効ですし、またコンピュータに限らず、工作機械や新技術を導入した場合でも活用が可能ですね。やみくもに「効率をあげろ!」というだけでは成果にはつながりません。一定の尺度をもって効率の測定を行ない、その結果を冷静に分析して対応することが利益向上につながっていきます。