第30回「ソフトウェア試験の概念」~完了プロセスと報告~
第29回までに、試験マネジメントプロセスでは計画を策定した場合、各試験が計画通りに実施されて進捗しているかを監視し、必要に応じて管理するプロセスの解説をしました。計画して実行・管理したら最後は完了におけるプロセスとなります。
完了プロセスとは
完了プロセスはテスト活動が終了したという合意が得られた場合に実行されます。このプロセスの目的は、有用なテスト資産を後の使用のために利用可能にし、有効なテスト環境を残し、結果を記録して関連する利害関係者に報告する活動です。
完了プロセスの成果としては下記の内容を残す必要があります。
- テスト資産を有効な状態で保管する or 引き渡す
- テスト環境を合意された状態に保ち、次のテストで利用可能とする
- 完了報告書は、重要事項が記録され、承認され、利害関係者に報告されること
また、同時に報告書を作成することが必須となります。テスト完了報告書は、実行されたテストの概要を報告します。
報告書について
報告書はプロジェクトの全体または特別なサブプロセス単位で報告を行います。
報告書の内容は、実行されたテストの要約を記述します。何がどのようにテストされたか、その詳細を説明し、どのように実行されたのかを報告します。計画書に対して実行された状況や計画書からからの逸脱があった場合は、逸脱理由の説明・是正のための処理の記述・未処理のリスクを記載します。
また、テスト完了報告する根拠として特定のテスト完了基準にどの程度合致しているか記述します。必要に応じて、なぜ基準に合致しなかったのかを説明することも大切です。未処理のリスクがある場合には、それに対する処理策を記述することも重要になります。進捗を阻害した要因およびそれを除去した解決策を記述しておくと、実行資産として蓄積することができます。
報告書は文書としてだけではなく、テストの全体状況を測定量としてグラフや表として提示するとよりわかりやすくなります。 ソフトウェア試験におけるPLAN・DO・CHECKの最終報告書であり、次回に同様の試験を行う場合を想定して作成すると非常に有効な資料となります。